卒業研究論文の留書C

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第1章 ハッカーとクラッカーの存在

4節 ブラックハッカーとは

インターネットなどで活用法が広みを持っていくにつれて増える技術の悪用利用。被害が増えてくることで人々はこの集団に対しブラックハッカーと呼ぶようになり、ネットのセキュリティリスク対策を行う機関は警戒を呼びかけるようになった。
この呼び方の由来になるハッカーはハッキングの略称でありハックする者。ITが発展する以前にもこの言葉は存在しており、何か取り組んでいることに夢中になること、ラグビーやバスケットなどのスポーツの不正行為、反則行為にあたる。

 夢中になることは興味が湧き何かを知りたいという衝動に駆り立てられるような状態だということがわかる。もっと何かを知りたいという意欲や目的を達成するために不正の手を使ってでも実行しようとする意味合いから今のIT用語としてハッキングという単語が定着していったのではないだろうか。

 一方でIT用語としてのハッキングはハッキング行為に対する総合的な考察がされた論文「ハッカーの需要と史的展開」に詳しい定着の流れが触れられている。1980年代に登場したジャーナリスト集団「ハッカーズ」の登場。そこで取り上げられたハッカー(高い技術力を持っている人の尊称)がシステムやネットワークの解析を行う行為[1]。「ハッカーズ」はハッキング行為を不正だけでなく正しい行為としてもアプローチしていた。

図表1 ジャーナリスト「ハッカーズ」による関連年表

これらの行為を詳しく着目したことにより1982年を始めとしマスメディア経広く普及、多くの人に広まりハッカーを題材とした映画の制作が行われるまでに至った。

IT機器の操作に長けた人が施設内部につないでいる複数の端末を調べ上げ、端末の構築構成、容量、データーベースに不正行為を行うものが侵入する入り口ともなるシステムの抜け穴(セキュリティーホール)。に不正侵入する方法をサーチする行為までがハッキングとくくられる。更に深刻なレベルでの不正侵入以上のデーターの窃盗、窃盗のための破壊工作、システムの改変改造など端末を扱う管理者にとって被害を与える行為になると「クラッキング」という単語に切り分けられる。

だが、現代の社会においてハッキング行為を不正ではなく正しい使い方として捉え、IT社会への大きな貢献役として見られるようになってきた。システムで障害が発生している部分に侵入し、問題発生部を捉え修復に導き困難とも言われるような作業を難なくこなしてしまうクリーンなイメージが多く広がったことにより悪人のハッカーと意味合いを切り分けるために「ホワイトハッカー」と「ブラックハッカー」という単語が新たに出来上がり定着するようになった。

5節 ホワイトハッカーとは

 対をなす言葉として現れたホワイトハッカー。この単語は反社会的に行動するブラックハッカーと違い善意を目的とし活動を行う集団のことである。IT機器が豊富にあふれる時代に全体的にIT利用人口が急激に増加したことで相対的にITリスクも跳ね上がることで警察機関や政府などは民間事業者にセキュリティー対策を委ねることが多くなった。趣味や興味本位として始まったハッキング行為は仕事としての活動に変化が出てきている。会社での運営維持のために貢献する者もいれば、単なる資金調達を目的として活動する者など目的は様々。

 ホワイトハッカーは攻撃を行うブラックハッカーに対してセキュリティー対策を行うことや監視、対抗策など巧みな経験知識を生かして活動する。経験を活かすことは過去にブラックハッカーとして活動していた人も多く存在する。刑事収容などをきっかけに始めるものもいれば教育機関で資格などを取得し若手のホワイトハッカーとして育っていくもの、年齢や経験量は様々であれ、一つの機関に所属して集団として動いていく。
 ホワイトハッカーとして活躍するチャールズ.ヘンダーソン(Charles Henderson)によると「攻撃側の考えを常に知ることこそが大切。脆弱性問題への抵抗は人間の考え方にある[2]」とされる。攻撃側の行動を常に先読みし先手を取ることで安全なネット社会を構築していく。経験が未熟であるなしに関わらず人間の行動特性に着目できる力を身につけていくことこそが日々進歩するIT時代の対抗策なのだろう。


[1] 山根信二「ハッカーの受容と史的展開」電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review9巻3号,2016年,p. 197-204

[2] IBMウェブサイト『ホワイトハッカーが語る、サイバー攻撃のトレンド』,https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/white-hacker/,[2020年6月26日閲覧]。

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